SDS作成は自社対応か外部委託か|判断基準と準備する情報
著者・監修 ・ YDAIコンサルティング株式会社 代表
目次
SDS作成を自社対応又は外部委託で進める判断は、対象製品数、言語、既存資料、更新責任、社内で確認できる体制を整理してから行います。どちらかの方法を先に決めるのではなく、製品情報を誰が確認し、変更時に誰が内容を更新し、どの形で管理するかを分けて考えることが出発点です。必要な情報と役割が見えると、自社で行う範囲と外部へ委ねる範囲を同じ条件で比べられます。
この記事では、特定の事業者やサービスを評価せず、SDSの通知事項、変更確認、管理方法を基にした判断軸を整理します。個別製品が通知対象物に当たるか、どの内容を通知すべきかは、本記事で確定するものではありません。
自社対応と外部委託を決める前提

判断の前に、自社に既にある情報と、追加で確認が必要な情報を分けます。SDSの作成作業だけを見るのではなく、製品の譲渡又は提供、更新、作業場での管理までの流れを見渡します。
自社で確認できる情報と担当者
自社で確認できる情報には、製品名、成分情報と含有量、用途、既存SDS、取扱い上の注意、供給元から受け取った変更情報があります。誰がこれらを保有し、内容の確認、製品一覧への反映、作業場での周知を担うかを、製品ごと又は担当部門ごとに整理します。
通知対象物を譲渡又は提供する者は、名称、成分及びその含有量、物理的及び化学的性質、人体に及ぼす作用、取扱い上の注意などを通知します。社内にある資料がどの通知事項に対応するかを確認すると、自社で準備する情報の範囲が明確になります。(出典:労働安全衛生法第57条の2第1項、労働安全衛生規則第34条の2の4/確認日: 2026-09-06)
外部へ委ねる範囲を言語化する
外部へ委ねる範囲は、「SDS作成」という一語でまとめず、既存資料の整理、成分情報の確認、文書の作成、言語ごとの文面、ラベル原稿、電子的な保管形式などに分けます。成果物と、作成に必要な情報を誰が提供するかを明示すると、依頼前後の役割が途切れません。
外部の事業者に作業を委ねる場合も、製品の用途、譲渡又は提供の実態、変更情報の受領、作業場での周知に関する情報は自社で整理します。個別の法令上の義務の帰属は、所轄労働基準監督署・専門家へ確認します。
判断に使う比較軸

判断表には、件数や言語だけでなく、情報のそろい方と更新時の役割を入れます。条件を同じ項目で並べると、特定の提供方法に引きずられず、準備すべき事項を確認できます。
| 判断軸 | 確認する内容 |
|---|---|
| 製品と情報 | 製品数、成分情報、用途、既存SDSのそろい方 |
| 表記と成果物 | 必要な言語、SDS、ラベル原稿、電子的なデータ |
| 体制 | 内容を確認する担当、更新情報を受ける窓口、管理方法 |
| 継続対応 | 変更の要否、通知、改訂、引継ぎの役割 |
製品数、言語、成分情報、既存資料
製品数が少なくても、成分情報や用途が製品ごとに異なる場合は、確認する情報を共通化できる範囲が限られます。逆に、既存SDSや成分情報が整理されていても、必要な言語、納品形式、ラベル原稿の有無が異なれば、製品ごとに必要な作業を確認します。
成分の含有量は、通知対象物では重量パーセントで通知する規定があります。営業上の利益を不当に害するおそれがある一定の物には表記の特例もあるため、情報の開示範囲を個別に決めず、扱う情報を整理して確認先へ伝えます。(出典:労働安全衛生規則第34条の2の6第1項・第2項/確認日: 2026-09-06)
更新確認と変更通知の責任
通知対象物では、「人体に及ぼす作用」について直近の確認日から五年以内ごとに変更の要否を確認し、必要なときは確認から一年以内に変更します。変更後の事項は、適切な時期に相手方へ通知し、又は閲覧できるようにします。
判断の際は、変更情報を受け取る窓口、変更要否を確認する担当、SDSを更新する担当、相手方への通知を確認する担当を分けます。自社対応と外部委託のいずれを選ぶ場合も、確認日と変更履歴を残す方法を決めます。(出典:労働安全衛生規則第34条の2の5第2項・第3項/確認日: 2026-09-06)
依頼前にそろえる情報

外部委託を検討する場合は、依頼先ごとに渡す情報を変えないことが、作業範囲を比べる前提です。情報不足を後から補う流れにならないよう、製品情報と希望する管理方法を先に一覧化します。
製品、用途、成分、既存SDS
依頼前の一覧には、製品名、用途、成分情報と含有量、既存SDS、供給元、製品を扱う作業場を記録します。既存SDSがない製品、内容の変更を確認していない製品、複数の用途がある製品は区別しておくと、追加の確認が必要な範囲を共有しやすくなります。
個別の対象物への該当や成分の扱いを、自社の一覧だけで断定しません。必要な資料を整理したうえで、所轄労働基準監督署・専門家に確認する場面を残します。
希望する納品物と管理方法
希望する納品物は、SDS、ラベル原稿、必要な言語の文書、電子的なデータ、保管に用いる形式に分けて記録します。電子メール又はホームページのアドレスを伝えて閲覧を求める方法もSDSの通知方法として定められているため、URLを使う場合は閲覧先と更新確認の担当を決めます。
通知を受けた事業者は、通知事項を取り扱う各作業場の見やすい場所に常時掲示又は備え付けるなどして、労働者に周知します。納品後に誰が製品一覧へ登録し、作業場で確認できる状態を点検するかを、依頼範囲と別に整理します。(出典:労働安全衛生規則第34条の2の3、労働安全衛生法第101条第4項/確認日: 2026-09-06)
判断後に確認すること

方法を決めた後も、依頼条件と管理の役割を記録に残します。作成時の情報だけでなく、改訂が必要になったときの受け渡しが決まっているかを確認します。
同じ条件で見積を比べる
見積を比べるときは、対象が製品単位か物質単位か、必要な言語、分類、ラベル原稿、納品物、改訂対応、最低発注額の有無を同じ欄で確認します。作業範囲が異なる見積を一列に並べても、差がどの条件によるものかは分かりません。
条件が不足する場合は、金額を補って比較せず、対象と成果物をそろえ直します。費用構造を読む際の条件整理は、外部委託を選ぶかどうかの前に行う作業です。
引継ぎと改訂時の役割を残す
引継ぎの記録には、製品一覧、SDSの保管先又は閲覧先、確認日、変更履歴、変更情報の受領窓口、周知を確認する担当を含めます。担当者や依頼先との関係が変わったときも、どの情報を誰に渡すかが分かる状態にします。
変更後の事項を通知又は閲覧可能にする対応と、作業場での周知は別の確認事項です。改訂時の役割を残しておくと、更新されたSDSを受け取った後の管理まで連続して確認できます。(出典:労働安全衛生規則第34条の2の5第3項、労働安全衛生法第101条第4項/確認日: 2026-09-06)
まとめ
SDS作成を自社対応又は外部委託で進める判断では、製品情報、必要な言語、既存資料、更新確認、作業場での管理を先に整理します。自社と外部の役割を成果物、確認日、変更時の受け渡しで分けると、判断後の管理も続けやすくなります。化学物質規制の全体像と化学物質規制の改正スケジュールで制度の前提を確認できます。選び方・比較の記事も判断軸の整理に利用できます。
更新手順はSDS管理の更新フロー、管理方法の比較軸はSDS管理の方法、見積条件の読み方はSDS作成代行の費用構造で確認できます。掲載内容の訂正、ご意見・ご質問はお問い合わせフォームの該当種別からお寄せください。
よくある質問
- Q. 自社対応を選ぶ前に確認することは何ですか。
- 製品数、成分情報、用途、既存SDS、必要な言語、更新確認を担う担当者と記録方法を整理します。自社にある情報と、追加で確認する情報を分けて一覧にします。
- Q. 外部委託する場合も自社に残る役割はありますか。
- 譲渡・提供の実態、製品情報、用途、更新が必要になった情報を整理し、依頼範囲と改訂時の役割を明確にします。作業場での周知と管理記録の担当も、成果物の受領後に確認します。
- Q. SDSの内容が変わった場合はどうしますか。
- 通知対象物では、変更した通知事項を適切な時期に相手方へ通知し、又は閲覧できるようにします。変更情報の受領、更新、通知の担当を分けて記録します。(出典:労働安全衛生規則第34条の2の5第3項/確認日: 2026-09-06)
出典
- 1.労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)/e-Gov法令検索(laws.e-gov.go.jp)
- 2.労働安全衛生規則(昭和47年労働省令第32号)/e-Gov法令検索(laws.e-gov.go.jp)