法令・制度解説

化学物質規制の改正スケジュール|2028年までの対応ロードマップ

依
依田尚人

著者・監修 ・ YDAIコンサルティング株式会社 代表

9分
目次

化学物質規制の対応は、2026年の779物質の適用開始、2027年の別表第2への155物質追加、2028年の36物質追加を、施行日ごとに分けて準備することが重要です。対象の追加時期、在庫品に関するラベル表示の経過措置、SDSの見直しを一つの予定として扱うと、確認すべき根拠資料が曖昧になりやすくなります。779物質の適用開始と在庫品に関する取扱いは、令和5年政令第265号附則と基発0830第1号で確認します(出典:令和5年政令第265号附則、基発0830第1号/確認日: 2026-09-06)。

ここでは、労働安全衛生規則別表第2と労働安全衛生法施行令別表第9・別表第3を基準に、施行日、物質数、担当体制を並べます。個別の製品や成分が対象かどうかは断定せず、法令名・公布日・施行日・確認日を残して更新するための一般的な手順を示します。

2026年から2028年の改正スケジュール

2026年から2028年の化学物質規制ロードマップ
2026年から2028年の化学物質規制ロードマップ

施行日ごとに対象範囲と準備物を分けて管理すると、前年の情報をそのまま使うことを避けられます。各年の変更は、労働安全衛生規則別表第2と労働安全衛生法施行令の対象区分を確認し、確認日を付けて記録します。

施行日主な変更根拠資料
2026年4月1日経過措置で適用が猶予されていた779物質の適用開始令和5年政令第265号附則、基発0830第1号
2027年4月1日別表第2に155物質を追加、別表上は4項目を削除令和7年厚生労働省令第12号
2028年4月1日別表第2に36物質を追加令和8年厚生労働省令第68号

2026年4月1日の適用開始

779物質は2025年4月1日に対象へ加わっていましたが、経過措置により適用が猶予され、2026年4月1日にラベル表示・SDS交付等の適用が開始されました。新たに2026年4月に追加された物質ではないため、製品リストを確認するときは、追加日と適用開始日を分けて記録します(出典:令和5年政令第265号附則、基発0830第1号/確認日: 2026-09-06)。

2026年4月1日に現に存在する物については、ラベル表示に限り2027年3月31日まで経過措置が残ります。一方でSDS交付はこの在庫品の猶予の対象ではないため、ラベルとSDSを同じ期限として扱わないことが必要です(出典:令和5年政令第265号附則、基発0830第1号/確認日: 2026-09-06)。

2027年4月1日と2028年4月1日の変更

2027年4月1日には、令和7年厚生労働省令第12号(2025年2月19日公布)により、労働安全衛生規則別表第2へ155物質が追加されます。別表の項目としては4項目が削除され、そのうち3項目は名称の範囲を広げる置き換えです(出典:労働安全衛生規則別表第2/確認日: 2026-09-06)。

2028年4月1日には、令和8年厚生労働省令第68号(2026年3月31日公布)により、同別表へ36物質が追加されます。公布日と施行日を並べ、取扱製品・SDS・教育資料を見直す時期を社内の予定表に置くと、改正後の確認作業を分散できます(出典:労働安全衛生規則別表第2/確認日: 2026-09-06)。

施行日別の物質数をどう読むか

別表ごとの物質数と名称ベース総数
別表ごとの物質数と名称ベース総数

物質数は、どの別表の何を数えた数字かを添えて読みます。法令上の名称ベースの総数は、労働安全衛生規則別表第2だけでなく、労働安全衛生法施行令別表第9と別表第3第1号1〜7も含めて整理します。

2,316、2,467、2,503の数え方

2027年4月1日の2,467と2028年4月1日の2,503は、各別表の物質数を合計して算出した数です。厚生労働省の公式一覧は当該施行日版が未公表のため、公表後に突合します(出典:労働安全衛生規則別表第2、労働安全衛生法施行令別表第9・別表第3/確認日: 2026-09-06)。

2026年4月1日時点の2,316は、労働安全衛生規則別表第2の2,276、労働安全衛生法施行令別表第9の33、同令別表第3第1号1〜7の7を足した法令上の名称ベースの数です。厚生労働省の義務対象物質一覧でも同じ2,316が確認されています(出典:労働安全衛生規則別表第2、労働安全衛生法施行令別表第9・別表第3、厚生労働省「労働安全衛生法に基づくラベル表示・SDS交付等の義務対象物質一覧」/確認日: 2026-09-06)。

別表第2の増減と名称ベース総数

2027年4月1日時点の労働安全衛生規則別表第2は2,427、2028年4月1日時点は2,463です。2027年は現行の2,276から155物質が追加され、2028年は2,427から36物質が追加されるため、別表第2の増減を追うと改正の差分を把握できます(出典:労働安全衛生規則別表第2/確認日: 2026-09-06)。

CAS番号など物質単位の数字と、法令上の名称を数えた数字は数え方が異なります。名称によって複数の物質をまとめている場合もあるため、確認表には名称、別表、施行日を分けて記録します(出典:厚生労働省「労働安全衛生法に基づくラベル表示・SDS交付等の義務対象物質一覧」/確認日: 2026-09-06)。

施行前に整える体制

施行前に整える担当体制と確認物
施行前に整える担当体制と確認物

施行日前に整えるのは、対象候補の一覧だけではありません。製造・取扱い、譲渡・提供、作業場での周知のどこを誰が確認するかを決め、更新した資料が現場まで届く流れにします。

化学物質管理者と保護具着用管理責任者

化学物質管理者は、リスクアセスメント対象物を製造・取り扱う事業場ごと、又は譲渡・提供のみを行う事業場ごとに選任する仕組みです。保護具着用管理責任者は、化学物質管理者を選任した事業者が、リスクアセスメントの結果に基づく措置として保護具を使用させるときに選任します(出典:労働安全衛生規則第12条の5、第12条の6/確認日: 2026-09-06)。

いずれも全事業場に一律に生じるものではないため、取扱いの実態と必要な体制を分けて確認します。制度の全体像は化学物質規制の基本で、対象物質の数え方はSDS交付義務の対象物質数で整理しています。

取扱物質リストとSDSの更新担当

取扱製品ごとに製品名、法令上の名称、SDSの受領日、確認日、次回確認の契機を記録すると、施行日前後の差分を追いやすくなります。譲渡・提供する側と使用する側では確認する義務の場面が異なるため、同じ一覧でも担当欄と確認理由を分ける方法が実務上の助けになります。

2026年のラベル表示・SDS交付の関係は2026年4月のSDS・ラベル表示義務、在庫品の経過措置は2027年までのラベル移行措置で確認できます。2027年の追加対象を確認するときは2027年4月のSDS対象物質も合わせて確認します。

版管理を続ける方法

根拠法令から確認日までを残す版管理
根拠法令から確認日までを残す版管理

版管理は、古いSDSを単に削除する作業ではなく、どの根拠に基づきいつ確認したかを再確認できる状態にすることです。施行前後で同じ製品を扱う場合も、法令改正の版と事業場の確認記録を結び付けます。

根拠法令、公布日、施行日、確認日を残す

管理表には、根拠条文、改正省令又は政令の番号、公布日、施行日、確認日、担当者を分けて残します。2026年の適用開始は令和5年政令第265号(2023年8月30日公布)の経過措置、2027年は令和7年厚生労働省令第12号、2028年は令和8年厚生労働省令第68号に基づくため、年だけではなく根拠資料まで記録します(出典:令和5年政令第265号附則、労働安全衛生規則別表第2/確認日: 2026-09-06)。

確認の契機を施行日、SDSの変更、取扱製品や作業方法の変更に分けると、更新漏れを見つけやすくなります。公開資料を見直す日も残しておくと、次回確認時に差分の由来を説明しやすくなります。

個別の該否を公的窓口へ確認する場面

名称が製品名と一致しない、SDSの成分情報が不足している、又は例外規定との関係を個別に判断する必要があるときは、一覧だけで確定しません。所轄労働基準監督署又は専門家へ確認し、回答を受けた日と根拠資料を社内記録に残します。

本記事は改正スケジュールの一般的な整理であり、個別製品の該当・非該当を判断するものではありません。労働安全衛生法第57条・第57条の2の対象範囲は、労働安全衛生法施行令第18条・第18条の2と労働安全衛生規則の別表を照合して確認します(出典:労働安全衛生法施行令第18条・第18条の2、労働安全衛生規則別表第2/確認日: 2026-09-06)。

まとめ

2026年から2028年の対応は、施行日、別表ごとの数え方、SDSと体制の更新を同じ管理表で結び付けることが要点です。法令改正の概要は化学物質規制の基本を起点にし、対象物質、ラベル、経過措置、2027年の追加対象を、それぞれの確認目的に応じて読み分けます。

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よくある質問

Q. 2028年4月の追加は何物質ですか。
労働安全衛生規則別表第2には、2027年4月1日時点の2,427物質から36物質が追加され、2,463物質になります。削除はありません(出典:令和8年厚生労働省令第68号、労働安全衛生規則別表第2/確認日: 2026-09-06)。
Q. 2028年4月の2,503は何を数えた数ですか。
2,503は、労働安全衛生規則別表第2の2,463に、労働安全衛生法施行令別表第9の33と別表第3第1号1〜7の7を加えた、法令上の名称ベースの総数です。この数は各別表の物質数を合計して算出した数であり、厚生労働省の公式一覧は当該施行日版が未公表のため、公表後に突合します(出典:労働安全衛生規則別表第2、労働安全衛生法施行令別表第9・別表第3/確認日: 2026-09-06)。
Q. 改正が近づくまで確認を待ってよいですか。
施行直前まで待たず、取扱物質リスト、SDS、担当者、周知方法を先に整理します。公布・施行の都度と定期的な確認日を管理表に残すと、改正後の差分確認を担当者だけの記憶に頼らずに進められます。

出典

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