自社の取扱物質が対象か確認する手順|SDSと公開リストの見方
著者・監修 ・ YDAIコンサルティング株式会社 代表
目次
取扱物質の確認は、製品名・成分情報をSDSで整理し、公開リストの法令上の名称と照合する順で進め、個別の該否は所轄労働基準監督署又は専門家に確認します。製品名だけ、又は検索結果だけで結論を急ぐと、法令上の名称、成分、用途、譲渡・提供か製造・取扱いかという確認事項が抜けるおそれがあります。
この手順は、情報をそろえて確認の根拠を残すための一般的な流れです。個別製品への法令の適用や成分の該当・非該当を当サイトが判断するものではなく、判断が止まる場面を明確にします。
対象確認の全体の流れ

対象確認では、取扱製品の一覧、SDS、法令上の名称、取扱いの実態を順に並べます。最初から対象・対象外の欄を埋めるのではなく、情報の出所と確認日を残すと、変更があった時に見直しやすくなります。
| 段階 | そろえる情報 | 確認を止める場面 |
|---|---|---|
| 一覧化 | 製品名、用途、使用する事業場 | 製品名又は用途が不明 |
| SDS確認 | 成分情報、改訂日、発行者 | SDSがない、又は版が不明 |
| 名称照合 | 法令上の名称、別表、公開リスト | 名称の対応が不明 |
| 行為区分 | 譲渡・提供、製造・取扱いの実態 | 例外規定を個別に読む必要がある |
取扱製品と用途を一覧にする
最初に、事業場で扱う製品名、用途、使用する部署又は作業場、入手先を一覧にします。製品名が同じでも用途や取扱いの実態が異なる場合があるため、一覧には製品名だけでなく、どの業務で扱うかを残します。
一覧は対象判定の結論表ではなく、SDSと公開資料を照合するための入口です。対象物質の数え方と法令上の名称の考え方は、化学物質規制の基本で確認できます。
SDSと成分情報をそろえる
SDSでは、名称、成分及びその含有量、人体に及ぼす作用、貯蔵又は取扱い上の注意などが通知事項として定められています。受領したSDSの発行者、改訂日、製品名、成分情報を製品一覧と対応付けると、公開リストとの照合に必要な情報を探しやすくなります(出典:労働安全衛生法第57条の2第1項、労働安全衛生規則第34条の2の4/確認日: 2026-09-06)。
SDSが手元にない場合は、まず譲渡・提供元に有無と更新状況を確認します。情報不足のまま結論を作らず、得られた情報と確認日を一覧へ追記してから次の段階へ進めます。
公開リストを確認する方法

公開リストは、SDSで整理した情報と法令上の名称を照合するために用います。番号だけで機械的に一致させるのではなく、根拠となる別表と、サイトごとに確認できる情報の種類を分けて記録します。
法令上の名称で照合する
労働安全衛生法施行令第18条・第18条の2の対象は、同令別表第9、労働安全衛生規則別表第2、同令別表第3第1号などの区分と結び付いています。法令上の該当確認は物質名で行い、CAS番号は法令で規定された判定基準ではなく参考情報として扱います(出典:労働安全衛生法施行令第18条・第18条の2、労働安全衛生規則別表第2/確認日: 2026-09-06)。
厚生労働省の義務対象物質一覧では、法令上の名称と別表の関係を確認できます。2026年4月1日時点の名称ベースの数え方はSDS交付義務の対象物質数に整理しています。
職場のあんぜんサイトとNITE-CHRIPを使い分ける
職場のあんぜんサイトは厚生労働省が運営し、表示・通知対象物質の一覧・検索、GHSモデルラベル、モデルSDSの情報を確認できます。NITE-CHRIPは独立行政法人 製品評価技術基盤機構が運営し、化学物質の法規制や有害性を横断して検索できる情報を提供しています(出典:厚生労働省 職場のあんぜんサイト「表示・通知対象物質の一覧・検索」、NITE-CHRIP/確認日: 2026-09-06)。
二つのサイトは、確認できる情報の種類が異なります。表示・通知対象物質の一覧と、化学物質の法規制・有害性に関する横断情報を区別して参照し、検索結果だけで個別の法令適用を確定しないことが重要です。
譲渡・提供と製造・取扱いを分ける

同じ製品でも、譲渡・提供する側と、製造・取り扱う側では確認する規定の場面が異なります。製品一覧には、誰がどの行為を行うのかを追加し、SDSの受領・通知と作業場での管理を混同しないようにします。
譲渡・提供する側が確認すること
通知対象物を譲渡又は提供する者には、相手方へ通知事項を伝える規定があります。通知は譲渡又は提供する時までに行い、継続的・反復的な譲渡で既に通知している場合は除かれます(出典:労働安全衛生法第57条の2第1項、労働安全衛生規則第34条の2の5第1項/確認日: 2026-09-06)。
この段階では、製品ごとのSDSの版、通知した相手方、通知の時点を整理します。対象区分の施行日を確認するときは、化学物質規制の改正スケジュールで改正の全体像を確認できます。
製造・取扱いする側が確認すること
リスクアセスメント対象物を製造又は取り扱う事業者には、リスクアセスメントを実施する規定があります。実施の時期は、対象物を新規に採用又は変更するとき、作業方法又は手順を新規に採用又は変更するとき、危険性・有害性に変化が生じ又は生ずるおそれがあるときです(出典:労働安全衛生法第57条の3第1項、労働安全衛生規則第34条の2の7第1項/確認日: 2026-09-06)。
化学物質管理者の対象と役割は化学物質管理者の選任義務、保護具を使用させる場合の体制は保護具着用管理責任者の選任条件で確認できます。各記事は制度の一般的な整理であり、個別の作業場に対する判断は所轄労働基準監督署又は専門家へ確認します。
確定判断を外部へ確認する場面

SDS、名称、用途、行為区分のいずれかが不足しているときは、対象確認を進めずに情報を補います。一般的な確認手順と、個別の該当判断を行う場面を分けることで、根拠のない結論を記録に残すことを避けます。
情報が不足している場合
SDSがない、成分名が法令上の名称と対応しない、又は使用実態が不明な場合は、情報不足として一覧に残します。譲渡・提供元への確認、現場での用途確認、SDSの改訂状況の確認を行い、入手できた資料の発行日と確認日を記録します。
主として一般消費者の生活の用に供される製品には、労働安全衛生法第57条第1項ただし書及び第57条の2第1項ただし書の除外規定があります。ただし、個別製品への適用は本記事で確定せず、必要な情報をそろえたうえで所轄労働基準監督署又は専門家へ確認します(出典:労働安全衛生法第57条第1項ただし書、第57条の2第1項ただし書/確認日: 2026-09-06)。
所轄労働基準監督署又は専門家への相談
例外規定との関係、製品名と法令上の名称の対応、用途に応じた扱いなど、個別の法令解釈が必要な場面は所轄労働基準監督署又は専門家へ確認します。相談時には、製品名、SDS、用途、取扱い又は譲渡・提供の実態、確認した公開資料を整理して示します。
当サイトは申請書類の作成代行や個別の該当判定を行う窓口ではありません。一般的な確認順序を用いて情報を整えた後、外部の確認先から得た回答と確認日を自社の記録に残します。
まとめ
対象確認は、製品と用途の一覧化、SDSの確認、法令上の名称との照合、行為区分の整理、外部確認の順で進めます。情報が不足したまま結論を出さず、根拠資料と確認日を残すことで、SDSの改訂や法令改正の際にも見直しやすくなります。
掲載内容の訂正やサイトへのご意見は、お問い合わせフォームの該当種別から連絡できます。実務に役立つ記事はお役立ち情報カテゴリで確認できます。
よくある質問
- Q. CAS番号だけで対象か確認できますか。
- 法令上の該当確認は物質名で行います。CAS番号は法令で規定された判定基準ではなく、参考情報として扱います(出典:労働安全衛生規則別表第2、厚生労働省「労働安全衛生法に基づくラベル表示・SDS交付等の義務対象物質一覧」/確認日: 2026-09-06)。
- Q. SDSが手元にない場合はどうしますか。
- まず譲渡・提供元にSDSの有無と更新状況を確認し、製品名、成分、用途、取扱いの実態を整理します。確定できない場合は所轄労働基準監督署又は専門家へ確認します。
- Q. 一般消費者向け製品なら必ず対象外ですか。
- 主として一般消費者の生活の用に供される製品には除外規定がありますが、個別製品への適用は本記事で確定しません。製品の情報と使用実態をそろえ、必要に応じて所轄労働基準監督署又は専門家へ確認します(出典:労働安全衛生法第57条第1項ただし書、第57条の2第1項ただし書/確認日: 2026-09-06)。
出典
- 1.労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)/e-Gov法令検索(laws.e-gov.go.jp)
- 2.労働安全衛生法施行令(昭和47年政令第318号)/e-Gov法令検索(laws.e-gov.go.jp)
- 3.労働安全衛生規則(昭和47年労働省令第32号)/e-Gov法令検索(laws.e-gov.go.jp)
- 4.厚生労働省 職場のあんぜんサイト「表示・通知対象物質の一覧・検索」(anzeninfo.mhlw.go.jp)
- 5.厚生労働省「労働安全衛生法に基づくラベル表示・SDS交付等の義務対象物質一覧」(anzeninfo.mhlw.go.jp)
- 6.NITE-CHRIP(独立行政法人 製品評価技術基盤機構)(chem-info.nite.go.jp)