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2026年4月のSDS・ラベル表示義務|779物質で何が変わったか

著者・監修: 依田尚人YDAIコンサルティング株式会社 代表

2026年4月のSDS・ラベル表示義務|779物質で何が変わったか

2026年4月1日には、2025年4月1日に対象へ加わっていた779物質の適用猶予が終わり、ラベル表示・SDS交付等が適用開始になりました。ここで重要なのは、779物質が2026年4月に新規追加されたのではなく、前の年に対象となった物への適用が始まった点です。対象追加、適用開始、在庫品に残る経過措置を別の出来事として整理します。(出典:令和5年政令第265号附則第2条・第3条、基発0830第1号/確認日: 2026-09-06)

同じ2026年4月1日には、代替化学名等の通知制度も労働安全衛生法第57条の2第3項〜第6項として施行されました。これは令和7年法律第33号による改正で、2025年5月14日公布、2026年4月1日施行です。本記事は各制度を混ぜずに、2026年9月6日時点で施行中の条文を確認して説明します。(出典:労働安全衛生法第57条の2第3項〜第6項/確認日: 2026-09-06)

2026年4月に何が変わったか

779物質の対象追加から適用開始までを示す時系列図
779物質の対象追加から適用開始までを示す時系列図

2026年4月の変更は、779物質へのラベル表示・SDS交付等の適用開始と、代替化学名等の通知制度の開始に分けて把握します。物質数の変更と通知方法に関する制度を同じ改正内容として扱わないことが大切です。(出典:令和5年政令第265号附則、労働安全衛生法第57条の2第3項〜第6項/確認日: 2026-09-06)

779物質はいつ対象へ加わったか

779物質は、国が行うGHS分類の結果、有害性の区分が区分1以外とされた追加対象物で、2025年4月1日に対象へ加わりました。ただし、令和5年政令第265号の経過措置により、2026年3月31日まで労働安全衛生法第57条と第57条の2の適用が猶予されていました。(出典:令和5年政令第265号附則第2条、基発0830第1号/確認日: 2026-09-06)

厚生労働省の一覧では、この779物質は令和8年4月1日施行分として示されています。これは一覧上の適用開始区分です。対象追加の2025年4月1日と、適用開始の2026年4月1日を同じ日付として扱わないようにします。(出典:厚生労働省「労働安全衛生法に基づくラベル表示・SDS交付等の義務対象物質一覧」、基発0830第1号/確認日: 2026-09-06)

2026年4月1日の適用開始

2026年4月1日に、779物質はラベル表示とSDS交付等の適用対象になりました。この日付は、2025年4月1日に対象へ加わり、経過措置で適用が猶予されていた物について、適用が開始された日です。「2026年4月から779物質が新たに対象になった」とは表現しません。(出典:令和5年政令第265号附則第2条、基発0830第1号/確認日: 2026-09-06)

一方、2026年4月1日時点で在庫として存在する779物質には、ラベル表示に限り2027年3月31日までの猶予があります。SDS交付には同じ在庫品の猶予はありません。適用開始後の確認では、在庫品かどうか、ラベルかSDSかを分けて扱います。(出典:令和5年政令第265号附則第3条、基発0830第1号/確認日: 2026-09-06)

ラベル表示とSDS交付を分けて確認する

ラベル表示とSDS交付およびリスクアセスメントの関係図
ラベル表示とSDS交付およびリスクアセスメントの関係図

ラベル表示とSDS交付は、いずれも譲渡・提供に関わる制度ですが、対象範囲と経過措置は同一ではありません。さらに、製造・取扱いに関わるリスクアセスメントは、二つと別の根拠と実施時期を持ちます。

779物質に関わる義務の範囲

労働安全衛生法第57条第1項は容器又は包装による譲渡・提供時の表示を、同法第57条の2第1項は通知対象物の譲渡・提供時のSDS通知を定めています。779物質の適用開始では、この二つの制度の対象を確認します。ただし、主として一般消費者の生活の用に供する製品には、それぞれ適用除外があります。(出典:労働安全衛生法第57条第1項ただし書、第57条の2第1項ただし書/確認日: 2026-09-06)

ラベル表示には、運搬中及び貯蔵中に固体以外にならず、粉状にもならない物の除外がありますが、SDS通知に同じ除外はありません。したがって、物の状態についてラベルで確認した内容を、SDSの要否へそのまま移すことはできません。(出典:労働安全衛生規則第30条ただし書、第34条の2/確認日: 2026-09-06)

リスクアセスメントを一律猶予としない理由

リスクアセスメントは、リスクアセスメント対象物を製造又は取り扱う事業者が行う制度です。実施時期は、対象物を新規に採用又は変更するとき、作業方法又は手順を新規に採用又は変更するとき、危険性又は有害性に変化が生じ、又は生ずるおそれがあるときです。(出典:労働安全衛生法第57条の3第1項、労働安全衛生規則第34条の2の7第1項/確認日: 2026-09-06)

779物質に関する経過措置で適用しないとされたのは、労働安全衛生法第57条と第57条の2です。リスクアセスメントまで一律に猶予されたと考えず、製造・取扱いの実態と実施時期を別に確認します。(出典:令和5年政令第265号附則第2条、労働安全衛生法第57条の3第1項/確認日: 2026-09-06)

2026年4月の別の制度変更

代替化学名等の通知制度における記録と情報開示の関係図
代替化学名等の通知制度における記録と情報開示の関係図

2026年4月には、物質の適用開始だけでなく、営業秘密の保護に関係する代替化学名等の通知制度が始まりました。制度の対象と記録の要件を、779物質への適用開始と切り分けます。

代替化学名等の通知制度

労働安全衛生法第57条の2第3項は、一定の成分情報が秘密として管理され、事業活動に有用で公然と知られていない場合に、あらかじめその旨を明示して代替化学名等で通知できる仕組みを定めています。成分名の通知に代えることができる場合の要件は、同条の規定に沿って確認します。(出典:労働安全衛生法第57条の2第3項/確認日: 2026-09-06)

この制度は令和7年法律第33号により新設され、2025年5月14日公布、2026年4月1日に施行されました。779物質の適用猶予が終了したこととは、根拠条文も内容も異なる変更です。(出典:労働安全衛生法第57条の2第3項〜第6項/確認日: 2026-09-06)

記録と医師への情報開示

代替化学名等を通知した者は、通知に係る成分、通知した代替化学名等その他省令で定める事項を記録しなければなりません。また、健康障害が生じ、又は生ずるおそれがある場合には、医師の求めに応じて成分情報を開示する仕組みです。(出典:労働安全衛生法第57条の2第4項・第5項/確認日: 2026-09-06)

同条第4項の記録は、労働安全衛生法第120条第1号の列挙に含まれ、50万円以下の罰金の対象です。実際には、労働基準監督官の臨検監督等で違反が確認された場合に、是正勧告又は指導が行われ、是正されない場合などに送検へ進みます。SDS通知義務そのものと記録義務の扱いを混同しません。(出典:労働安全衛生法第57条の2第4項、第120条第1号/確認日: 2026-09-06)

2030年3月31日までは、罰則の列挙にあるのは労働安全衛生法第57条の2第4項の記録であり、SDS通知義務そのものは列挙に含まれていません。2030年4月1日からは、同条第1項の規定による通知をせず、又は虚偽の通知をしたときが同法第119条第4号に加わり、6月以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金の対象になります(令和7年法律第33号。施行期日を定めた政令が令和8年政令第195号です)。同条第2項の変更時の通知も同日から義務になりますが、罰則の列挙には入りません。(出典:労働安全衛生法第57条の2、第119条/令和7年法律第33号附則第1条第7号、令和8年政令第195号/確認日: 2026-09-12)

事業場で最初に確認すること

在庫・譲渡提供・取扱いを分ける確認順のフロー
在庫・譲渡提供・取扱いを分ける確認順のフロー

改正への対応は、対象物質名だけを確認する作業ではありません。在庫、譲渡・提供、職場での取扱いを分け、参照した資料と確認日を残すと、経過措置と通常の義務を区別できます。

在庫、譲渡・提供、取扱いの区分

まず、2026年4月1日時点の在庫に779物質が含まれるか、容器又は包装で譲渡・提供するか、SDSを譲渡・提供時に通知するかを確認します。在庫品への猶予はラベル表示に限られるため、SDSの通知状況を別欄で確認します。(出典:令和5年政令第265号附則第3条、労働安全衛生法第57条・第57条の2/確認日: 2026-09-06)

製造又は取り扱う業務がある場合は、リスクアセスメントの実施時期と、結果の記録・周知を確認します。譲渡・提供の情報伝達と、職場での危険性又は有害性の調査は、同じリストで管理しても根拠と実施の契機を分けておく必要があります。(出典:労働安全衛生法第57条の3第1項、労働安全衛生規則第34条の2の7・第34条の2の8/確認日: 2026-09-06)

根拠と確認日の記録

記録には、対象を確認した製品名、参照したSDS、公開一覧の施行日区分、確認日を対応付けます。779物質については、2025年4月1日の対象追加と2026年4月1日の適用開始を分けて残します。ラベル表示の在庫品猶予を確認した場合は、2026年4月1日時点で現に存在したかも別に記録します。(出典:令和5年政令第265号附則第2条・第3条、基発0830第1号/確認日: 2026-09-06)

製品の成分、物の状態、譲渡・提供の実態を含む個別の判断は、一般的な説明だけで確定できません。対象の確認に迷う場合は、所轄労働基準監督署又は専門家へ確認します。

よくある質問

2026年4月の適用開始と在庫品の取扱いをまとめた図
2026年4月の適用開始と在庫品の取扱いをまとめた図

779物質は2026年4月に新たに追加されたのですか

779物質は2025年4月1日に対象へ加わっており、経過措置による適用猶予が2026年3月31日に終了しました。2026年4月1日は適用開始の日です。(出典:令和5年政令第265号附則、基発0830第1号/確認日: 2026-09-06)

2026年4月から在庫品にもSDS交付が猶予されますか

2026年4月1日時点の在庫品に残る猶予はラベル表示に限られます。SDS交付は同じ猶予の対象ではありません。(出典:令和5年政令第265号附則、基発0830第1号/確認日: 2026-09-06)

代替化学名等の通知も779物質の変更ですか

いいえ。代替化学名等の通知は、労働安全衛生法第57条の2第3項〜第6項として2026年4月1日に施行された別の制度です。(出典:労働安全衛生法第57条の2第3項〜第6項/確認日: 2026-09-06)

まとめ

779物質については、2025年4月1日に対象へ加わり、2026年4月1日にラベル表示・SDS交付等が適用開始されたという順序を確認します。2026年4月1日時点の在庫品は、ラベル表示だけが2027年3月31日まで猶予され、SDS交付とリスクアセスメントを同じ扱いにはできません。化学物質規制の全体像SDS交付義務の対象物質数も併せて確認できます。

掲載内容の訂正やご意見は、お問い合わせの該当種別から連絡できます。個別の対象判断は、所轄労働基準監督署又は専門家へ確認してください。

出典

著者・監修

依田尚人YDAIコンサルティング株式会社 代表

依田尚人は YDAIコンサルティング株式会社 代表。労働安全衛生法のSDS・ラベル表示・リスクアセスメント義務と対象物質の改正動向について、e-Gov・厚生労働省等の公開情報を一次ソースまで確認する工程を標準として、本サイトの記事を設計・監修しています。

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