法令・制度解説

SDSの通知事項|成分・危険有害性・取扱い情報を確認する

依
依田尚人

著者・監修 ・ YDAIコンサルティング株式会社 代表

8分
目次

SDSの通知事項には、名称、成分、性質、人体に及ぼす作用、取扱い上の注意などがあります。項目を一度に覚えるのではなく、製品を識別する情報、危険有害性に関する情報、取扱いに関する情報に分けて確認します。

受け取ったSDSは、製品名だけで保管せず、提供者、版、確認日、想定用途と結び付けます。製品の変更や取引先からの案内があったときに、どの情報を見直すかが明確になります。

SDSの通知事項とは

労働安全衛生法第57条の2は、対象となる化学物質等を譲渡・提供する者が、名称、成分、人体に及ぼす作用などの事項を相手方に通知することを定めています(出典:労働安全衛生法第57条の2/確認日: 2026-09-06)。労働安全衛生規則第34条の2の4は、通知事項の詳細を定めています。

通知事項は、提供者の資料をそのまま保管するためだけのものではありません。製品が何か、どのような性質や危険有害性の情報があるか、どのように取り扱うかを、相手方が確認できるようにする情報です。

情報のまとまり確認する例資料を確認する場面
製品を識別する情報名称、成分、提供者製品を受け取った時
性質・危険有害性の情報性質、人体に及ぼす作用取扱いを確認する時
取扱いに関する情報貯蔵、取扱い上の注意、用途使用や保管を確認する時
版に関する情報作成日、改訂日、確認日更新を確認する時
SDS通知事項を目的別に分ける表
SDS通知事項を目的別に分ける表

製品と成分の情報を確認する

名称と成分・含有量を読む

最初に、SDSの名称が手元の製品名と対応しているかを確認します。似た名称の製品や同じシリーズの製品でも、成分や用途、提供者、版が異なる場合があります。製品名、型式などの識別情報、提供者、受領日を一覧にします。

成分・含有量の情報は、製品ごとの資料を確認するための情報です。個別物質についての裾切値や濃度、分類区分を一般的な記事から当てはめず、受領済みSDSの版と提供者の情報を確認します。

製品名と成分情報をSDSで照合する
製品名と成分情報をSDSで照合する

性質と危険有害性の情報を読む

性質や人体に及ぼす作用に関する情報は、製品の取扱いを考える際に確認します。製品名だけで類推するのではなく、該当するSDSの情報を読み、版が新しいか、対象の製品に対応しているかを確かめます。

一部の情報だけを抜き出すと、資料の前提が失われることがあります。確認した箇所、SDSの版、確認日を記録し、取扱いの見直しが必要になったときに元の資料へ戻れるようにします。

取扱いに関する情報を確認する

貯蔵・取扱い上の注意を確認する

貯蔵・取扱い上の注意は、製品を受け取った後の保管や使用の予定と照合します。保管場所、容器の状態、取扱う部門、既存の製品との区別など、SDSの情報を確認するための対象を先に整理します。

SDSの情報を転記したメモだけで済ませず、SDS本体の版と確認日を残します。資料が更新された場合は、以前の確認内容と見比べ、変更の有無を確認します。SDSの入手・管理・更新の実務フローも参考になります。

貯蔵と取扱い上の注意をSDSで確認する
貯蔵と取扱い上の注意をSDSで確認する

想定用途と使用上の注意を確認する

想定用途は、製品をどの場面で使う予定かを整理する情報です。提供者が示す資料の用途と、社内で予定している用途が異なる可能性がある場合は、製品名、用途、SDSの版を照合し、確認が必要な点を切り分けます。

用途に関する確認は、製品の対象可否や安全性を記事だけで結論付けるためのものではありません。どの製品をどの用途で扱う予定かを明らかにし、個別の判断が必要な場合に資料をそろえられる状態にします。

個別物質の数値を決めつけない

裾切値や分類区分を記事で断定しない理由

SDSには製品ごとの成分、含有量、危険有害性に関する情報が示されますが、個別物質の数値や分類は、製品、版、提供者の資料に基づいて確認します。一般的な記事にある例だけで、特定の製品の記載事項を決めることはできません。

対象となる物質を確認する際は、製品名とSDSを出発点にし、必要に応じて自社の取扱物質が対象か確認する手順を参照します。通知する方法は、SDSの交付方法で整理しています。

個別物質の確認前にSDSの版を見る
個別物質の確認前にSDSの版を見る

SDSを一覧で管理するときは、製品名、提供者、SDSの版、受領日、確認日、保管先、想定用途を別の項目にします。製品名だけで保管すると、同じ名称の別製品や提供者が異なる資料を取り違えることがあります。資料を開かなくても、どの製品のSDSかを確認できる状態にします。

成分に関する情報を確認した場合は、どの版のSDSのどの項目を見たかを記録します。メモだけを残すと、後から元の資料を見直す際に確認範囲が分からなくなるためです。製品の名称、提供者、版、確認日を一緒に残せば、元のSDSへ戻りやすくなります。

性質や人体に及ぼす作用に関する情報を共有する場合も、抜き出した一文だけでは資料の前提を確認できません。参照元のSDS、製品名、版、確認日を添え、受け取る人が資料の全体を確認できるようにします。情報を伝えた日と、SDSを確認した日も別に記録します。

保管や取扱いに関する資料を見直すときは、製品の保管場所、用途、容器の状態、担当部門をSDSと照合します。製品を別の場所へ移す予定がある場合も、予定する場所と現在の資料を対応付け、確認が必要な点を一覧にします。

資料の更新を知らせる案内を受け取った場合は、更新後の版、変更を確認した日、関係する製品、参照する担当を記録します。旧版を削除する前に、以前の確認記録との関係を残すと、なぜ新しい資料を確認したかが分かります。

SDSを取引先へ通知する場合は、通知事項の確認と通知方法の確認を分けます。SDSの交付方法を参照し、通知した製品、SDSの版、相手方、通知日を対応付けます。資料の更新管理はSDSの入手・管理・更新の実務フローでも整理できます。

個別の成分・含有量や分類に関する判断が必要な場合は、受領済みSDSと提供者資料を基に確認します。一般的な確認項目を、特定製品の数値や対象可否の結論に置き換えないようにします。

SDSの通知事項と確認記録を対応付ける
SDSの通知事項と確認記録を対応付ける

SDSの通知事項を確認した記録には、製品名、提供者、SDSの版、確認日、確認した項目、保管先を残します。製品情報、成分に関する情報、取扱いに関する情報を一つのメモにまとめるだけでなく、どのSDSに基づく情報かを確認できるようにします。

資料を別の部門へ共有するときは、製品名、版、提供者、用途、確認日を添えます。抜き出した項目だけでは、受け取る人が元のSDSに戻れないことがあります。資料の全体を確認できる保管先と、参照したSDSの版を対応付けます。

SDSが更新された場合は、更新後の版を確認した日と、どの製品に関係するかを一覧に追加します。旧版の情報を使った記録を残しながら、新しい版との違いを確認すると、次に見直す項目を整理しやすくなります。

SDSの確認記録を見直す際は、製品名、提供者、SDSの版、確認した項目、確認日、保管先、用途を一つの一覧にします。過去の記録を新しいSDSで上書きするのではなく、どの製品のどの版を確認したかを対応付けます。

資料を社内で共有する場合は、抜き出した通知事項だけではなく、対応する製品名、提供者、SDSの版、保管先、確認日、確認した目的を添えます。資料を受け取る人が、元のSDSと通知に使った資料を別に確認できる状態を保ちます。

製品、用途、提供者、SDSの版、保管場所に変更が生じたときは、以前の確認記録を基に、どの情報を再確認するかを整理します。一般的な通知事項と個別製品の判断を分け、必要な根拠資料をそろえて確認します。

確認記録は、担当者が替わった時にも参照できるよう、製品名、提供者、資料の版、確認日、保管先、確認した目的を対応付けます。前回の記録を残して新しい記録を追加すると、資料や取引の変更がどの確認に影響するかを整理しやすくなります。確認できない項目は空欄のままにせず、確認する資料または確認先を記録します。一覧を定期的に見直し、変更がない場合にも確認した日と資料を残します。

まとめ

SDSの通知事項は、製品を識別する情報、危険有害性に関する情報、取扱いに関する情報に分けて確認します。製品名、提供者、SDSの版、確認日、用途を結び付けると、更新時に見直す資料を追いやすくなります。

SDSの通知方法はSDSの交付方法、管理の流れはSDSの入手・管理・更新の実務フロー、法令・制度解説は法令・制度解説カテゴリを参照してください。

よくある質問

Q. SDSではどのような情報を確認しますか。
名称、成分、性質、人体に及ぼす作用、取扱い上の注意などを、製品・危険有害性・取扱いの目的別に確認します。SDSの通知事項は労働安全衛生法と労働安全衛生規則に定められています(出典:労働安全衛生法第57条の2、労働安全衛生規則第34条の2の4/確認日: 2026-09-06)。
Q. 想定用途はどこで確認しますか。
受領したSDS、製品仕様、提供者からの資料、社内で予定する取扱いを照合します。資料間に違いがある場合は、製品名、版、提供者を確認して、必要な問い合わせ事項を整理します。
Q. 個別物質の濃度を記事で判断できますか。
判断できません。個別物質の成分・含有量や分類は製品のSDSと提供者資料で確認し、製品ごとの判断が必要な場合は根拠資料をそろえて確認します。

出典

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