法令・制度解説

SDS対象外の化学物質は何もしなくてよい?|努力義務と確認の進め方

依
依田尚人

著者・監修 ・ YDAIコンサルティング株式会社 代表

8分
目次

SDSの通知対象外であっても、危険有害化学物質等には表示・通知の努力義務があります。対象外という言葉だけで情報伝達が不要になるとは決めず、法的な義務と努力義務を分けて確認します。

製品の成分や用途、譲渡・提供の形態によって個別の判断は変わります。手元のSDS、製品ラベル、提供者からの資料をそろえ、どの情報を相手方へ伝えるかを見直す順番を持つことが出発点です。

義務と努力義務を分ける

労働安全衛生規則第24条の14と第24条の15では、危険有害化学物質等について、容器・包装への表示と譲渡・提供時の通知に関する努力義務が定められています(出典:労働安全衛生規則第24条の14・第24条の15/確認日: 2026-09-06)。SDSの通知義務がある対象物と、努力義務の対象になり得る情報伝達を同じ意味で扱わないことが必要です。

確認では、対象判定、表示、通知、記録を別の欄に置きます。対象外と考えている根拠、確認した資料、次回の確認日を残すと、製品の変更や取引先からの問い合わせに際して経緯を追いやすくなります。

分けて確認する項目義務がある対象物努力義務を確認する場面
表示法令上の対象と表示事項を確認する危険有害性の情報を伝える方法を検討する
通知譲渡・提供時のSDS通知を確認するSDSと同様の情報を伝える方法を検討する
記録通知日やSDSの版を確認する確認した資料と判断の経緯を残す
SDS対象外と努力義務を分ける確認表
SDS対象外と努力義務を分ける確認表

表示について確認すること

容器・包装で伝える情報の一般的な整理

容器・包装で製品を譲渡・提供する場面では、名称、危険有害性に関する情報、取扱い上の注意、表示する者に関する情報などを、製品ごとに確認します。努力義務の場面でも、何を伝える必要があるかを考える際には、情報が製品と結び付いているかを確かめます。

ラベルは一度貼れば終わる資料ではありません。製品名、成分情報、提供者、取扱い上の注意に変更がないかを資料ごとに確認し、旧版の表示と混在しないよう整理します。ラベル表示の基本は、化学物質の制度変更を確認する流れも参考になります。

容器と包装の表示情報を確認する場面
容器と包装の表示情報を確認する場面

容器・包装以外で伝える場合

容器・包装に直接示すことが難しい取引形態では、情報を相手方に届く形にする考え方と、SDSの通知方法を混同しないことが大切です。文書、電子的な資料、取引時の案内など、どの経路で情報を伝えたかを製品ごとに整理します。

努力義務に関する一般的な説明から、特定の取引がどの規定の対象になるかまでは確定できません。容器・包装の有無、取引の反復性、相手方の状況を示せる資料を用意し、判断が必要なときは所轄の確認先へ相談します。

通知について確認すること

SDSと同じ項目を通知する努力義務

労働安全衛生規則第24条の15は、危険有害化学物質等を譲渡・提供する場合に、SDSの通知事項に相当する情報を通知する努力義務を定めています(出典:労働安全衛生規則第24条の15/確認日: 2026-09-06)。情報をまとめるときは、製品名、成分に関する資料、危険有害性、取扱い上の注意、提供者を対応付けます。

通知の入口を作るだけでなく、相手方がどの資料を見るかを分かる状態にします。メール、文書、URLを使う場合も、いつ誰へ伝えたかと、参照した資料の版を記録すると、後日の説明に役立ちます。SDSの交付方法では通知方法を整理しています。

努力義務の通知で整理する情報
努力義務の通知で整理する情報

変更の要否を確認する考え方

製品の名称、成分、提供者から受け取るSDS、用途に関する情報が変わったときは、以前に伝えた情報との違いを確認します。変更がないと判断した場合も、確認した日と資料を残すと、同じ確認を繰り返しにくくなります。

確認の頻度や変更時の対応は、義務のあるSDS通知と努力義務の情報伝達を区別します。SDSの版と確認日の整理には、SDSを5年以内ごとに確認する考え方が参考になります。

情報変更と確認日を整理する記録
情報変更と確認日を整理する記録

個別の該非を確定しない

製品ごとの判断を所轄窓口や専門家へ確認する場面

一般的な記事だけで、特定の製品が通知対象外か、どの情報をどの方法で伝えるべきかを確定することはできません。製品名、成分に関する資料、用途、取引の流れ、受領済みSDSをそろえて、確認したい論点を一つずつ整理します。

対象物を確認する順番は、自社の取扱物質が対象か確認する手順を参照できます。個別の適用や取引形態に迷う場合は、所轄労働基準監督署や専門家へ確認します。

個別判断の前にそろえる製品資料
個別判断の前にそろえる製品資料

努力義務を確認する一覧には、製品名、危険有害性に関する資料、表示または通知の方法、相手方、確認日を記録します。通知義務の対象かどうかの確認と、努力義務としてどの情報を伝えるかの検討を同じ結論にしないことが重要です。確認した根拠資料が分かるようにします。

製品の成分や用途に変更があったときは、以前の資料と現在の資料を照合します。変更がない場合も、確認したSDSの版、提供者、確認日を残します。次の担当者が資料を見たときに、何を基に情報伝達の方法を考えたかを確認しやすくなります。

相手方へ情報を伝える場合は、どの製品のどの情報を、どの経路で伝えたかを整理します。資料を電子的に渡すときも、ファイル名だけで管理せず、SDSの版、送信先、送信日、確認した資料を対応付けます。取引先ごとに方法が異なる場合も同じです。

対象物の整理には自社の取扱物質が対象か確認する手順、通知の記録にはSDSの入手・管理・更新の実務フローを参照できます。確認の目的と個別製品の判断を分け、必要に応じて確認先へ相談します。

努力義務を確認する記録には、対象とした製品、危険有害性に関する資料、表示または通知の方法、相手方、確認日を残します。通知義務の対象かどうかの確認と、努力義務として情報を伝える検討を別の欄にすると、確認した内容を混同しにくくなります。

製品の成分や用途が変わった場合には、以前のSDS、提供者資料、表示または通知の記録を見直します。変更がない場合も、どの資料を確認したかと確認日を残します。担当が変わっても、情報伝達の検討に使った資料を確認しやすくなります。

相手方へ資料を渡す場合は、製品名、SDSの版、通知先、方法、通知日を対応付けます。電子的な資料を使うときも、ファイル名だけを保管せず、どの製品に関する情報を誰へ伝えたかを記録します。個別製品の適用は、根拠資料をそろえて確認します。

努力義務の確認記録を見直す際は、製品名、提供者、危険有害性に関する資料、表示または通知の方法、相手方、確認日を一つの一覧にします。過去の記録を新しい資料で上書きするのではなく、どの製品とどの情報伝達を確認したかを対応付けます。

資料を社内で共有する場合は、確認結果だけではなく、対応する製品名、SDSの版、提供者、相手方、確認日、確認した目的を添えます。資料を受け取る人が、通知義務の対象確認と努力義務に関する情報伝達を別に確認できる状態を保ちます。

製品、用途、提供者、危険有害性に関する資料、取引の予定に変更が生じたときは、以前の確認記録を基に、どの情報を再確認するかを整理します。一般的な説明と個別製品の判断を分け、必要な根拠資料をそろえて確認します。

確認記録は、担当者が替わった時にも参照できるよう、製品名、提供者、資料の版、確認日、保管先、確認した目的を対応付けます。前回の記録を残して新しい記録を追加すると、資料や取引の変更がどの確認に影響するかを整理しやすくなります。確認できない項目は空欄のままにせず、確認する資料または確認先を記録します。一覧を定期的に見直し、変更がない場合にも確認した日と資料を残します。

まとめ

SDS対象外と考えられる化学物質でも、表示・通知の努力義務を確認する場面があります。対象判定、情報伝達、変更の確認、記録を分けると、資料の更新時にも確認の経緯を追いやすくなります。

対象物を確認する順番は自社の取扱物質が対象か確認する手順、制度の全体像は化学物質規制の全体像を参照してください。法令・制度解説は法令・制度解説カテゴリに掲載しています。

よくある質問

Q. 対象外なら情報を伝えなくてよいですか。
SDSの通知対象外と考えられる場合でも、危険有害化学物質等には表示・通知の努力義務があります。対象外という結論だけで終えず、製品に関する資料、危険有害性の情報、相手方へ伝える方法を確認します(出典:労働安全衛生規則第24条の14・第24条の15/確認日: 2026-09-06)。
Q. 努力義務と罰則はどう違いますか。
努力義務は情報を伝える取組を求める規定であり、通知義務がある対象物の規定とは位置付けが異なります。個別の製品について罰則や適用の有無を記事だけで決めず、根拠となる資料をそろえて確認します。
Q. 自社製品が対象外か記事で決められますか。
決められません。製品の成分、用途、譲渡・提供の形態によって確認点が異なるため、手元のSDSや提供者資料を整理し、必要に応じて所轄労働基準監督署や専門家へ確認します。

出典

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