法令・制度解説

SDSの変更通知|改訂後に見直す通知先と記録の管理

依
依田尚人

著者・監修 ・ YDAIコンサルティング株式会社 代表

8分
目次

SDSを変更した場合は、変更内容だけでなく、誰にどの方法で知らせ、どの時点を記録するかを分けて整理することが重要です。法律上の位置付けと、通知対象物について省令が定める対応を同じ言葉で扱わないようにします。

改訂日だけを残しても、旧版を受け取った相手方や閲覧先とのつながりが不明なら、変更後の確認が難しくなります。版番号、変更日、通知日、通知先を対応付けると、提供後の見直しを進めやすくなります。

変更通知で確認する3つの層

労働安全衛生法第57条の2第2項は、通知した事項に変更の必要が生じたとき、変更後の事項を相手方へ通知するよう努めなければならないと定めています。現行の法律上は努力義務であることを、まず確認します(出典:労働安全衛生法第57条の2第2項/確認日: 2026-09-11)。

一方、通知対象物については、労働安全衛生規則第34条の2の5第3項が、変更後の通知事項を相手方へ通知し、又は閲覧できるようにすることを定めています。2030年4月1日からは、法律上の第57条の2第2項も義務となる予定です(出典:労働安全衛生法第57条の2第2項、労働安全衛生規則第34条の2の5第3項/確認日: 2026-09-11)。

層確認する内容記録に残す項目
法律変更通知の位置付けと時点改正日、施行日
省令通知対象物の通知・閲覧の扱い変更事項、通知方法
実務記録旧版を受け取った相手方との対応通知先、通知日、版番号
SDS変更通知を3つの層で整理する図
SDS変更通知を3つの層で整理する図

改訂後に確認する通知先

変更した事項を相手方へ伝える考え方

変更通知では、変更後のSDSを作成した時点と、相手方へ伝えた時点を混同しません。SDSを受け取った相手方が変更後の情報を確認できるように、通知先と伝達方法を整理します(出典:労働安全衛生規則第34条の2の5第3項/確認日: 2026-09-06)。

URLや二次元コードで閲覧を求める方法を使う場合も、単に掲載先を更新するだけではなく、相手方へ知らせた経緯を残します。通知方法ごとの基本は、SDSの交付方法で確認できます。

変更後のSDSを通知先へ伝える流れ
変更後のSDSを通知先へ伝える流れ

過去の提供先を確認するために残す情報

過去の提供先を確認するには、製品名とSDSの版、提供日、相手方、伝達方法を結び付けます。販売記録や通知記録の保存方法は事業場ごとに異なりますが、旧版と新版の関係を追える形にすることが重要です。

通知先の一覧には、担当部署名だけでなく、通知の対象になった製品やSDSの版を対応付けます。相手方の担当者が変わった場合でも、どのSDSについて確認が必要かを探しやすくなります。

過去の提供先とSDSの版を対応付ける記録
過去の提供先とSDSの版を対応付ける記録

変更時の記録を整える

版番号・変更日・通知日の役割

版番号は、どのSDSを使ったかを区別するための情報です。変更日はSDSの内容が変わった日、通知日は相手方へ変更後の情報を伝えた日であり、同じ日になるとは限りません。

確認日も別に残します。通知対象物の人体に及ぼす作用は、直近の確認日から5年以内ごとに変更の要否を確認し、変更が必要なときは確認から1年以内に変更することとされています(出典:労働安全衛生規則第34条の2の5第2項/確認日: 2026-09-06)。

閲覧できる状態を見直す順番

閲覧先を更新するときは、対象となるSDSの版、掲載先のURL、相手方への伝達、旧版との区別を順に確認します。複数の製品を扱う場合は、製品名と版番号が一致するかを最初に見直すと、別製品の情報を案内する誤りを避けやすくなります。

改訂後の通知を受ける側では、現場で確認できる資料との関係も確認します。受領、保管、更新確認、周知をつなぐ一般的な流れは、SDSの入手・管理・更新の実務フローで整理しています。

SDSの版と掲載先URLを管理する記録
SDSの版と掲載先URLを管理する記録

個別の判断を外部へ確認する場面

対象物・変更内容の判断を所轄窓口や専門家へ確認する場面

製品ごとの通知対象性、変更内容の扱い、過去の提供先への対応を個別に判断するには、SDS、製品名、用途、取引の経緯を確認する必要があります。一般的な記録方法だけで、特定の製品への適用を決めることはできません。

判断が必要な場面では、確認したSDSの版、変更内容、取引先との関係をそろえ、所轄労働基準監督署や専門家へ確認します。制度の全体像は化学物質規制の全体像、5年以内ごとの確認はSDSの5年以内ごとの確認も参照してください。

SDS変更時に確認資料をそろえる場面
SDS変更時に確認資料をそろえる場面

変更を整理する一覧では、変更を知った日、SDSの版を確認した日、変更の内容を確認した日、通知した日を分けます。日付が同じ場合でも、何を確認した日かを書き分けると、後から資料を見た人が変更の経緯を追いやすくなります。製品名、提供者、通知先も同じ行に残します。

版が変わったSDSを受け取ったときは、旧版と新版を並べ、製品名、成分に関する情報、人体に及ぼす作用、取扱い上の注意など、確認する項目を決めます。差異がなかった場合も、確認した資料と日を残します。確認する人が替わっても、判断の前提を引き継ぎやすくなります。

通知先の確認では、取引先の担当者名だけでなく、どの相手方へどの方法で資料を伝えたかを確認します。URLや電子メールを使う場合は、変更後のSDSへ到達できる状態と、閲覧を求める案内を分けて記録します。通知の方法を変更した場合は、前後の方法も残します。

改訂時の確認は、製品単位で進めます。SDSの入手・管理・更新の実務フローでは版と確認日の整理を、SDSを5年以内ごとに確認する考え方では確認時点の考え方を確認できます。個別の対象判断は根拠資料をそろえて確認します。

変更通知の管理では、製品名、提供者、SDSの版、変更を知った日、内容を確認した日、通知日、通知先、通知方法を対応付けます。日付が同じ場合でも、確認と通知を別の作業として記録すると、改訂後の経緯を確認しやすくなります。

改訂版を受領した後は、旧版との違いを確認した資料と、関係する製品を一覧にします。製品名や提供者が似ていても、同じ版のSDSを使うとは決めず、対象製品と版を照合します。差異がない場合も確認日を残します。

通知先の情報が変わった場合は、前回の通知記録と現在の相手方を見比べます。URLや電子メールで案内する場合には、相手方が変更後のSDSを確認できる入口、案内した日、SDSの版を分けて記録します。

変更通知の記録を見直す際は、製品名、提供者、SDSの版、変更を知った日、内容を確認した日、通知日、通知先、通知方法を一つの一覧にします。過去の記録を新しい資料で上書きするのではなく、どの変更とどの製品を確認したかを対応付けます。

資料を社内で共有する場合は、変更点だけではなく、対応する製品名、SDSの版、通知先、通知日、確認日、確認した目的を添えます。資料を受け取る人が、変更前と変更後の資料を別に確認できる状態を保ちます。

製品、提供者、SDSの版、通知先、取引の予定に変更が生じたときは、以前の通知記録を基に、どの情報を再確認するかを整理します。一般的な制度説明と個別取引の判断を分け、必要な根拠資料をそろえて確認します。

確認記録は、担当者が替わった時にも参照できるよう、製品名、提供者、資料の版、確認日、保管先、確認した目的を対応付けます。前回の記録を残して新しい記録を追加すると、資料や取引の変更がどの確認に影響するかを整理しやすくなります。確認できない項目は空欄のままにせず、確認する資料または確認先を記録します。一覧を定期的に見直し、変更がない場合にも確認した日と資料を残します。

まとめ

SDSの変更通知では、法律上の位置付け、省令の定め、事業場で残す記録を分けて扱います。版番号、変更日、確認日、通知日、通知先を結び付けると、改訂後にどの情報を誰へ伝えたかを確認しやすくなります。

法律上の時点による違いは、法令の施行日と通知の種類を分けて確認します。確認の土台として、SDSを5年以内ごとに確認する考え方も参照できます。法令・制度解説は法令・制度解説カテゴリにも掲載しています。

よくある質問

Q. SDSを改訂したら何を最初に確認しますか。
最初に、変更したSDSの版、製品名、変更日、旧版を受け取った相手方を整理します。そのうえで、通知先と通知方法、相手方が閲覧できる状態を確認します(出典:労働安全衛生規則第34条の2の5第3項/確認日: 2026-09-06)。
Q. 通知先の記録には何を残しますか。
通知先の記録には、相手方、対象製品、SDSの版、通知方法、通知日を結び付けます。版番号と通知日を分けることで、改訂した資料と相手方への伝達の経緯を確認できます。
Q. 変更通知と5年確認は同じですか。
同じではありません。変更通知は変更後の情報を相手方へ伝えることに関わり、5年以内ごとの確認は通知対象物の人体に及ぼす作用について変更の要否を確認する規定です(出典:労働安全衛生規則第34条の2の5第2項・第3項/確認日: 2026-09-06)。

出典

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