SDSの代替化学名等による通知|2026年4月制度開始後に確認する記録
著者・監修 ・ YDAIコンサルティング株式会社 代表
目次
代替化学名等による通知は、2026年4月に始まった成分情報の制度です。物質追加とは別の制度として、通知、記録、医師への開示の関係を確認します。
制度を扱うときは、個別の成分名を置き換えられるかどうかを先に決めません。対象となる成分、秘密として管理されている情報、相手方へ明示する内容、記録の関係を順に整理します。
代替化学名等による通知とは
労働安全衛生法第57条の2第3項から第6項は、一定の成分情報が秘密として管理されている事業活動に有用な情報であり、公然と知られていない場合の代替化学名等による通知を定めています。相手方へあらかじめその旨を明示し、代替化学名等を定めて通知する仕組みです(出典:労働安全衛生法第57条の2第3項/確認日: 2026-09-06)。
この制度は令和7年法律第33号により新設され、2026年4月1日に施行されました。2026年4月の対象物質の適用開始とは別の変更であるため、改正の内容を一つの出来事として扱わないようにします(出典:労働安全衛生法第57条の2第3項から第6項/確認日: 2026-09-06)。
| 確認する関係 | 制度上の位置付け | 管理する情報 |
|---|---|---|
| 成分情報 | 一定の場合に代替化学名等で通知できる | 対象となる成分 |
| 相手方への通知 | その旨をあらかじめ明示する | 通知した内容 |
| 記録 | 通知した者が記録する | 成分、代替化学名等 |
| 医師への開示 | 健康障害時などに関わる | 求めに応じた情報 |

通知時に確認すること
成分情報を代える前に確認する前提
代替化学名等による通知は、通知対象物の成分であって、省令で定める化学物質である成分を対象とします。営業上の理由だけで一律に使う制度ではなく、秘密として管理されている事業活動に有用な情報であることなどが前提です(出典:労働安全衛生法第57条の2第3項/確認日: 2026-09-06)。
個別の製品や成分について制度を使えるかは、SDS、成分情報、用途、取引の状況を確認して判断する必要があります。社内の記録だけで結論を急がず、必要に応じて所轄労働基準監督署や専門家へ確認します。

相手方に明示する情報
代替化学名等で通知する場合は、相手方にあらかじめその旨を明示します。通知先、対象製品、SDSの版、通知した内容を対応付けると、後から通知の内容を確認しやすくなります(出典:労働安全衛生法第57条の2第3項/確認日: 2026-09-06)。
通常のSDS通知と同様に、譲渡・提供の相手方が情報を確認できる状態を整えます。通知方法の基本は、SDSの交付方法で、確認時点の考え方はSDSを5年以内ごとに確認する考え方で整理できます。

記録と開示の関係
通知した内容を記録する理由
代替化学名等の通知を行った者は、通知に係る成分、通知した代替化学名等その他省令で定める事項を記録しなければなりません。記録に関する第57条の2第4項の違反は、第120条第1号の対象とされています(出典:労働安全衛生法第57条の2第4項、第120条第1号/確認日: 2026-09-06)。
記録には、製品名、SDSの版、通知先、通知日、通知内容を結び付けます。成分情報を扱う記録と、通知先の記録を分けておくと、改訂や照会が生じたときに確認する情報を探しやすくなります。
健康障害時の情報開示に関する一般説明
健康障害が生じ、又は生ずるおそれがある場合には、医師の求めに応じて成分情報を開示しなければならないと定められています。代替化学名等による通知を使った場合でも、健康障害に関わる情報の扱いまで置き換わるわけではありません(出典:労働安全衛生法第57条の2第5項/確認日: 2026-09-06)。
事業場で起きた個別の事案では、健康状態や作業環境に踏み込んだ判断を記事で行いません。製品、SDS、作業の状況、確認した資料を整理し、医療機関、所轄労働基準監督署、専門家へ必要な確認をします。

2026年4月の変更を混同しない
物質追加と制度新設を別に確認する
2026年4月1日には、経過措置で適用が猶予されていた779物質の適用が開始されました。これは2025年4月1日に対象へ加わっていた物質の適用猶予の終了であり、代替化学名等による通知制度の新設とは別の内容です(出典:労働安全衛生法第57条の2第3項から第6項/確認日: 2026-09-06)。
改正情報を管理する際は、対象物質の変更、成分情報に関する制度、SDSの版管理を分けて表にします。物質数の数え方や2026年4月の経過措置は、2026年4月のSDS・ラベル表示義務で確認できます。

代替化学名等を使う情報は、対象製品、使用した名称、SDSの版、相手方、通知した日を対応付けます。名称だけを一覧にしても、どの製品のどの版に関する通知かが分からなければ、後から確認することが難しくなります。提供者や通知先が変わった場合も、同じ記録で追えるようにします。
2026年4月の制度開始後に確認する場合は、変更前から使っている資料と新しい通知の情報を混ぜません。確認した根拠資料、確認日、通知した内容を分けて残し、旧版のSDSを参照していないかを確認します。特定の製品で利用できるかは、一般的な説明から決めません。
情報の通知先が複数あるときは、相手方ごとに伝えた資料と方法を記録します。URLや電子メールを使った場合も、相手方が参照する入口、製品名、SDSの版を対応付けます。通知後に資料が更新された場合は、変更の有無を確認する対象を一覧から抽出できます。
通知の入口を整理するには、SDSの交付方法が参考になります。制度の対象を考える際は化学物質規制の全体像、確認時点はSDSを5年以内ごとに確認する考え方を参照できます。
代替化学名等に関する通知記録は、製品名、使用した名称、SDSの版、通知先、通知方法、通知日、確認日を対応付けます。通知した名称だけを残すと、どの製品のどの資料を基にした情報かが不明になりやすいため、提供者と版も確認します。
通知先が複数ある場合は、相手方ごとに伝えた資料と経路を記録します。URLや電子メールを用いたときも、案内したSDSの版、相手方へ伝えた日、閲覧する入口を分けて残します。資料が更新された場合は、対象製品と通知先を一覧から確認します。
制度開始後に確認した資料と、以前から保管している資料を見比べる場合は、確認日と根拠資料を分けます。個別製品で代替化学名等を利用できるかは、一般的な説明を当てはめず、製品資料と確認先を用いて判断します。
通知記録を見直す際は、製品名、提供者、使用した名称、SDSの版、通知先、通知方法、通知日、確認日を一つの一覧にします。過去の通知を新しい資料で上書きするのではなく、どの製品のどの通知を確認したかを対応付けます。
資料を社内で共有する場合は、名称だけではなく、対応する製品名、SDSの版、通知先、通知日、確認日、確認した目的を添えます。資料を受け取る人が、通知した資料と受領済みSDSを別に確認できる状態を保ちます。
製品、用途、提供者、SDSの版、通知先に変更が生じたときは、以前の通知記録を基に、どの情報を再確認するかを整理します。一般的な制度説明と個別製品の判断を分け、必要な根拠資料をそろえて確認します。
確認記録は、担当者が替わった時にも参照できるよう、製品名、提供者、資料の版、確認日、保管先、確認した目的を対応付けます。前回の記録を残して新しい記録を追加すると、資料や取引の変更がどの確認に影響するかを整理しやすくなります。確認できない項目は空欄のままにせず、確認する資料または確認先を記録します。一覧を定期的に見直し、変更がない場合にも確認した日と資料を残します。
まとめ
代替化学名等による通知は、2026年4月に始まった成分情報の制度です。通知の前提、相手方への明示、通知内容の記録、医師への開示を分けて把握し、対象物質の適用開始とは別に管理します。
SDSの通知と版管理の基本は、SDSの交付方法とSDSの入手・管理・更新の実務フローで確認できます。法令・制度解説は法令・制度解説カテゴリも参照してください。
よくある質問
- Q. 代替化学名等はどのような制度ですか。
- 一定の成分情報が秘密として管理されている事業活動に有用な情報であり、公然と知られていない場合に、あらかじめその旨を明示して代替化学名等で通知できる制度です(出典:労働安全衛生法第57条の2第3項/確認日: 2026-09-06)。
- Q. 通知した内容は何を残しますか。
- 通知に係る成分、通知した代替化学名等その他省令で定める事項を記録します。実務では、製品名、SDSの版、通知先、通知日も対応付けると、通知の経緯を確認しやすくなります(出典:労働安全衛生法第57条の2第4項/確認日: 2026-09-06)。
- Q. 個別の成分名の扱いはどこへ確認しますか。
- 個別の成分名、製品、通知対象性の判断には、SDS、用途、成分情報、取引の状況を確認する必要があります。判断が必要な場合は、所轄労働基準監督署や専門家へ資料をそろえて確認します。
出典
本記事の出典は に内容を確認しています。
- 1.労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)/e-Gov法令検索(laws.e-gov.go.jp)
- 2.労働安全衛生規則(昭和47年労働省令第32号)/e-Gov法令検索(laws.e-gov.go.jp)