2030年4月のSDS制度改正|通知義務と罰則の時点を整理
著者・監修 ・ YDAIコンサルティング株式会社 代表
目次
SDS通知の罰則は時点を付けて確認する必要があります。2030年4月より前と以後では、通知義務と変更時の通知を同じ表現で扱うことはできません。
改正の予定を台帳や社内の確認項目へ反映するときは、何が変わるかだけでなく、根拠となる改正法、施行日、確認日を分けて残します。ラベル表示の罰則や代替化学名等の記録に関する罰則とも混同しないことが大切です。
いつの制度を確認するか
労働安全衛生法第57条の2第1項のSDS通知義務は、2030年3月31日まで、同法第119条・第120条の罰則列挙に含まれていません。2030年4月1日からは、同法第119条新4号により、通知をせず、又は虚偽の通知をしたときが罰則の対象となります(出典:労働安全衛生法第57条の2第1項、第119条/確認日: 2026-09-11)。
施行日は、労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律(令和7年法律第33号)附則第1条第7号に掲げる規定について、令和8年政令第195号が令和12年4月1日と定めています。改正法の附則と政令を取り違えず、確認した時点を添えて扱います(出典:労働安全衛生法/確認日: 2026-09-11)。
| 確認する時点 | SDS通知義務の罰則 | 変更時の通知 |
|---|---|---|
| 2030年3月31日まで | 第57条の2第1項は罰則列挙に含まれない | 法律上は努力義務 |
| 2030年4月1日から | 第119条新4号の対象 | 法律上も義務 |
| 通知対象物の実務 | 罰則の有無とは別に確認する | 省令の通知・閲覧の定めを確認 |

2030年4月に変わること
通知義務と変更時通知を分ける理由
2030年4月1日から変わる内容には、第57条の2第2項の変更時通知と、第1項のSDS通知義務に関する罰則があります。変更時通知は、現在の法律上は努力義務ですが、同日から法律上の義務となります(出典:労働安全衛生法第57条の2第2項/確認日: 2026-09-11)。
一方で、第119条新4号が掲げるのは第57条の2第1項の通知です。変更時通知の第2項は2030年4月1日以後も罰則の列挙には入らないため、通知義務と変更時通知を別々に確認します(出典:労働安全衛生法第119条/確認日: 2026-09-11)。

条文上の罰則を時点つきで読む方法
2030年4月1日以後、第57条の2第1項による通知をせず、又は虚偽の通知をしたときは、第119条新4号の対象です。同条の法定刑は6月以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金で、法人には第122条の両罰規定があります(出典:労働安全衛生法第119条、第122条/確認日: 2026-09-11)。
この内容は、2030年4月1日以後の規定です。現時点の運用を説明するときは、第1項の通知義務が2030年3月31日まで罰則列挙に含まれないことも、同じ段落で明確にします。

社内で準備する記録
改正日・施行日・確認日を残す項目
改正日、施行日、確認日は、それぞれ意味が異なります。改正日は制度改正が公布された日、施行日は改正後の規定が適用される日、確認日は資料や条文を確認した日として、記録上も分けます。
SDSの管理表には、対象となる製品、SDSの版、通知先、通知方法に加え、制度を確認した資料の名称と確認日を残します。改正の予定を社内で共有するときも、施行日だけを抜き出さず、根拠となる資料を対応付けます。
通知先リストを見直す順番
通知先リストの見直しでは、最初に製品名とSDSの版を確認し、次に過去の提供先と通知方法を対応付けます。その後、変更後のSDSをいつ通知するか、相手方が閲覧できる状態をどう保つかを確認します。
通知対象物については、変更後の事項を相手方へ通知し、又は閲覧できるようにする省令上の定めがあります。通知先の記録と閲覧先の管理を分ける考え方は、SDSの変更通知も参考になります(出典:労働安全衛生規則第34条の2の5第3項/確認日: 2026-09-06)。

罰則の説明で確認すること
即時の処分と決めつけず行政手順を分ける
法定刑がある規定でも、違反があれば直ちに罰金になるという意味ではありません。労働基準監督官の臨検監督などで法令違反が確認された場合、是正勧告や指導が行われ、是正されない場合などに司法処分へ進む段階があります(出典:労働安全衛生法第119条、第122条/確認日: 2026-09-11)。
社内で制度を共有するときは、条文上の法定刑と行政上の進み方を分けて説明します。対象製品や個別の対応を確定する必要があるときは、製品のSDS、用途、取引の記録をそろえ、所轄労働基準監督署や専門家へ確認します。

2030年4月1日を含む制度変更では、日付だけをメモするのではなく、その日より前と以後で何が異なるかを表にします。通知義務、変更時の確認、罰則に関する情報を同じ欄に書くと、時点ごとの違いが見えにくくなります。根拠となる法律名、改正法、政令、確認日を別に残します。
2026年に確認した既存資料を使う場合も、2030年4月1日以後の説明として使えるかを確認します。通知対象物を譲渡・提供する場面、変更後の情報を確認する場面、罰則の適用時点を分け、旧い資料の説明をそのまま転記しないようにします。
取引先や社内の担当者へ制度変更を共有するときは、対象製品、SDSの版、譲渡・提供の予定、通知先、確認担当を一覧にします。制度の一般的な説明と、個別の製品が対象になるかという判断は別の作業です。個別の適用は製品資料をそろえて確認します。
改正前後の通知方法は、SDSの交付方法を参照できます。既存のSDSを確認する流れは、SDSの入手・管理・更新の実務フローで整理しています。
2030年4月1日をまたぐ資料を整理するときは、説明した時点、根拠にした法令、製品の譲渡・提供の予定、SDSの版を記録します。法律の改正時期に関する説明と、個別製品の通知記録を一つの表に混ぜず、何を確認した資料かを分けます。
社内へ制度変更を共有する場合は、変更前後で異なる点を時点ごとに整理します。通知義務、変更時の確認、罰則に関する情報を同じ言葉でまとめず、適用される時点と根拠資料を記載します。古い説明を使う場合は、2030年4月1日以後の情報と混ざらないようにします。
取引先への情報伝達に関して個別の確認が必要なときは、製品名、SDS、用途、相手方、譲渡・提供の予定をそろえます。制度の一般的な説明から、特定の取引での対応を確定せず、根拠資料に基づいて確認します。
制度変更に関する記録を見直す際は、説明した時点、確認した法令、製品名、SDSの版、譲渡・提供の予定、確認日を一つの一覧にします。過去の説明を新しい資料で上書きするのではなく、どの時点の制度説明を確認したかを対応付けます。
情報を社内で共有する場合は、変更点だけではなく、根拠にした法律名、改正法、政令、適用される時点、確認日を添えます。資料を受け取る人が、2030年4月1日より前と以後の説明を別に確認できる状態を保ちます。
製品、SDSの版、譲渡・提供の予定、確認する法令に変更が生じたときは、以前の記録を基に、どの情報を再確認するかを整理します。制度の一般的な説明と個別取引の判断を分け、必要な根拠資料をそろえて確認します。
確認記録は、担当者が替わった時にも参照できるよう、製品名、提供者、資料の版、確認日、保管先、確認した目的を対応付けます。前回の記録を残して新しい記録を追加すると、資料や取引の変更がどの確認に影響するかを整理しやすくなります。確認できない項目は空欄のままにせず、確認する資料または確認先を記録します。一覧を定期的に見直し、変更がない場合にも確認した日と資料を残します。
まとめ
2030年4月の改正では、変更時通知が法律上の義務となり、SDS通知義務違反が第119条新4号の罰則対象になります。制度の説明では、現行と将来の時点、通知義務と変更時通知、法定刑と行政対応を分けて記録します。
SDS通知の方法は、SDSの交付方法で整理できます。対象物質や改正の全体像は、化学物質規制の全体像と2026年4月のSDS・ラベル表示義務も参照してください。
よくある質問
- Q. 現在のSDS通知義務はどの時点で確認しますか。
- 現行のSDS通知義務は、確認する日と適用される条文の版を合わせて確認します。第57条の2第1項は2030年3月31日まで罰則列挙に含まれず、2030年4月1日から第119条新4号の対象になります(出典:労働安全衛生法第57条の2第1項、第119条/確認日: 2026-09-11)。
- Q. 2030年の改正は変更通知にも及びますか。
- 及びます。第57条の2第2項の変更時通知は、2030年4月1日から法律上の義務となります。ただし、同項は2030年4月1日以後も罰則の列挙には含まれません(出典:労働安全衛生法第57条の2第2項、第119条/確認日: 2026-09-11)。
- Q. 罰則を確認するときの注意は何ですか。
- 罰則は、対象となる条文、施行時点、法定刑、行政上の進み方を分けて確認します。SDS通知義務については、2030年3月31日までと2030年4月1日以後を同じ説明にしないことが重要です(出典:労働安全衛生法第119条、第122条/確認日: 2026-09-11)。
出典
本記事の出典は に内容を確認しています。
- 1.労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)/e-Gov法令検索(laws.e-gov.go.jp)
- 2.労働安全衛生規則(昭和47年労働省令第32号)/e-Gov法令検索(laws.e-gov.go.jp)